心を無に?

TTMゆいの中野むつみです。

今日、
面白いというか、

すんごいねえ!
と、思った話。

それは、
大島紬の織り方、というか、

織る時のお話です。
まあ大体の方は、

大島紬は、
女性が縦糸と横糸を

使って手で織っていると
ご存知だと思うのですが、

そうです。
パタンパタンと、

お通さんのようにです。
で、

そうやって織る時の、
心の状態が不安定だと、

横に
織り傷といいますか、

線がついちゃうんですって。
なんとなくわかる。

あったまにきていると、
パタン!に力が入る。

そうなんですね。
超わかる。

だから、
いつも無心に織らなきゃあ、

ならない。
傷が入ったら、

検閲で
はねられて、

あの大島紬には
なれないんですって。

わあ!大変!

だって、
一日で10センチも

織れない高級品ですもの。
一つの線が、

全てを台無しに
しちゃう。

あー
私には無理だわ。

織れるかどうか以前に、

その精神安定を
保持できない。

いやあ、
一体どうやって無心に、

なってるのかしら。
怒りだけじゃあないでしょう。

悲しいこともあるでしょうし、
おかしなことを思い出して、

吹き出すことも
あるでしょ。

それが全部ダメ。
皆さん、

ラジオなんかを聴きながら、
織ってらっしゃると、

紬の先生は仰ってたけど、
ラジオを聞くだけで、

心が冷静になるなら、
苦労はしない。

そう思いませんか。

そして、
思ったんです。

大島の女性たちが、
心を無にして織った反物には、

大島の女性たちの
静かな気が、

きっと
流れていると。

昔は、
労働着だった大島紬ですが、

その美しさと気品から
高級品になったのは、

結構昔らしいです。
大島紬を持つことは、

お金持ちの奥様の
ステータスになり、

大島紬は人気になって、
大島の女性たちは、

糸を紡ぎ、
染めて織った。

そうそう、
高級な糸は、

一度木綿で縛って織り、
それを解いて織るんですって!

あ、これじゃあ
わからないですね。

ものすごく
手間がかかるということです。

それが、
大島の女性たちによって

作り出されたんですね。
きっと、

大島の男性たちは、
その織手の女性たちに

本当は頭が上がらなかったと
思うけれど、

場所は鹿児島ですから、
きっと大変だったと思うけれど、

もしかしたら、
だからこそ、

どんなことがあっても
心を無にしていく精神性を

培うことができたのかも
知れませんね。

いやあ、
絶対私には無理!

世の中に
絶対無理はないというけど、

絶対無理。
もし、

私に大島紬を
織れる技術があったとしても、

きっと私が織った紬は、
横ジワがいっぱい入って、

全く新しい織物に
なってしまうと思います。

まあ
それはそれで、

面白いかも
知れませんが。

でも一度、
織手の女性たちにお会いして

心無にする方法、
聞いてみたいと思います。

TTMゆいの中野でした。