恥ずかしくもお能の世界に足を踏み入れて

TTMゆいの中野むつみです。

インタビューの面白さは、
お話をしてくださる方の

人間性を感じるところに
ある気がする。

有名な方も
そうでない方も

さまざまな人生を歩まれて
今のその方がおられる。

なので、
どなたのインタビューが終わっても

私の心は
温かくなり、

頭の中は
スッキリするのだが、

先週の金曜日に
インタビューの本番をさせて頂いた、

能楽師角当行雄先生のお話は
そのお人柄というのか、

人間性の素晴らしさが
そのまま感じられ、

インタビュアーの私が
一番幸せなひと時を貰ったような気がする。

私はお能については
中学生レベルの知識だが、

そんな私を呆れることもなく、
真摯に対応をしてくださった。

私だけではなく、
全ての人をそのまま受け入れるというか、

批判したり
評価したりは、

けしてしない方なのだ。

ありがたいことを
ありがたいと

そのまま受け入れる姿に
そばにいるだけで

私の心は
柔らかくなった。

インタビュー本番の場所は
札幌の料亭川甚さんを

貸して頂いた。
美味しいお昼ご飯を食べた和室で

インタビューを開始した。
お弟子さんたちがギャラリーだ。

あえて
床の間を外し、

庭が見える背景にした。
角当先生の優しさを表現したかった。

お話の内容は
インタビューを見て頂くとして、

お能の精神性というか
心の表現は、

謡う人、
舞う人そのものに現れるのだと

先生から感じることが
できた。

インタビューが終わると
先生のお稽古が始まった。

私も、
65歳の手習で

先生の前に座った。
次の日もお稽古日なので、

嫌なことはさっさと済ませよう!
と、

はい!中野です!
と先生の前に座ったのに、

謡い終わったら、

『中野さん、
明日はこことあそこに気をつけて、

最後まで歌いましょう』
と、先生が仰る。

え?明日もお稽古をするの?!
とも言えず、

ニコッと笑って頷いた。
でも、

その夜はお稽古が出来ず、
翌朝、

一夜漬けならぬ浅漬けで、
もう一度先生に聞いて頂く。

ホント、
謡とは程遠い唸り声なのに

先生は馬鹿にもせず
真剣にご指導くださり、

いやはや
なんという道に入り込んでしまったのか。

引くに引けず。
だって、

あまりに先生が
真剣に真摯に教えてくださるから。

そして、
お稽古の後は

川甚にて
角当先生のお誕生会を

催した。
カウンター席を貸切にしての

誕生会。
感染対策もしっかり行われ、

カウンターの前には
アクリル板があるため

お料理は
仲居さんが一人一人に

運んでくださる。
新人の私とKさんは

先生の横に座らせて頂いた。
が、

周りの人に
強い緊張感を与えないのが

先生の凄さだ。
何事も極めた方は、

仏のような人間性をもたれるのだと、
聞いたことがある。

まさしく
そういうことなのだと実感した。

お能のお稽古は
人間磨きのようである。

TTMゆいの中野むつみでした。